第19章 騒動
恋に溺れて、夢中で追いかけて、そんなわけあるはずないと心のどこかで馬鹿にしていた。
どうしてそこまで求めようとするのか、百之助に出会うまで到底理解できない代物だった。
【慶次】
これが人に惹かれることなんだと思い知って、家族や友達、思いれのものを大切に想う気持ち。それとは別に本能を揺さぶられて、欲情させられて、どこよりも貪欲になる。俺には百之助と別れる選択肢なんてもってない。
【赤松父】
そうか・・・・。すずさんは知っていたようだったが、結婚する前から伝えていたのか?
【慶次】
いや、 が生まれるまで・・・・できる直前だな。
【赤松父】
?どういうことだ?
今さら一つ二つ、秘密をバラしても問題ないだろう。
それにずっと俺の悩みの種だったこともあるため、親父には知っておいてほしい。
【慶次】
俺には種がないんだ。
【赤松父】
ん?
【慶次】
すずと付き合う前に女の人とこっそりやってたけど、一度も勃ったことがなかった。すずも同じだ。直前で萎えて、・・・・百之助以外と上手くやれたことがない。
【赤松父】
・・・・つまり、 はお前の子じゃないのか?
【慶次】
そうだ。すずと百之助に頼んで、そうしてもらった。
【赤松父】
・・・・・・・・・・・・、
さすがに一番衝撃だったのか、狼狽している様子がうかがえる。男傾城で勃ったこともあるが、これはまた別の機会にしよう。
【赤松父】
そういえば・・・・、お前があの風呂屋を嫌った理由もそれが関係するのか?
【慶次】
一概には言えないけどな。
【赤松父】
はぁ・・・・。お前たちのこともそうだが、まさか、 がすずさんと百之助くんの子だなんて・・・・。妻が聞いたら一番腰を抜かすぞ。
衝撃を上回る衝撃で、親父は俺たちの関係にもう何も言うまいと半ば認めてくれたようだ。
少し日も落ち始め、家に帰るとすずは百之助は畑の方に行ってしまったという。
あれほど行くなと言ったのに、本当に自由気ままな奴だ。