第18章 嫉妬*
おのれの服もすべて脱ぎ払い、ねちっこいと言われるかもしれないが時間をかけて愛撫を続ける。
無防備に横たわっている百之助は額の上に腕をおいて、時折感じたような息遣いを漏らし、興奮して呼吸が上擦ってきている。
【百之助】
・・・・・・・・も、・・・・いいから。
【慶次】
なんだ?もう降参か?
いつもより感じてくれている百之助の表情と反応が、すごくいい。俺が欲情を抑えきれているのは、自分の口数が多くなったことと、百之助が口数が減ったことだ。
【慶次】
なあ、俺のこと好き?
【百之助】
・・・・ああ。
【慶次】
ほんとに?
【百之助】
ああ。
【慶次】
じゃあ、俺のどこが好き?
【百之助】
・・・・・・・・・・・・色々。
【慶次】
たとえば?
【百之助】
・・・・・・・・手。
【慶次】
俺の手のどんなところが好きなんだ?
【百之助】
アンタの手は・・・・、綺麗で、温かくて、うざったくて・・・・離さないでいてくれるから。
【慶次】
それ、うざったいって褒めてんのか?
【百之助】
褒めてる。・・・・ガキの頃からずっと、
【慶次】
ん?
そう言って口を止めた百之助は、急に熱を帯びた表情を見せ、ふいっと顔を背ける。
それはまるで照れ隠しのような仕草で、初めてみせた反応にドキリとさせられる。
【慶次】
(可愛すぎだろッ・・・・!!)
俺は心の中で絶叫し、百之助の方から口を開くのをただただ待つ。
それが瞬いている時間のあいだでも、俺は長い時間待たされているようなそんな感じ。
ただ一度も言わないのは、俺としてもちょっと寂しかった。
ある種の手段として、俺は好きだの愛しているだのデマかせに言ってきた。
だが百之助の場合は違う。コイツの言葉は誰よりも何よりも俺の奥深くに響かせる。
【百之助】
──ずっと、アンタのことが好きだった。
振り絞って、波紋が広がるように全身に沁みわたる。
俺はずっとこの言葉を待ち望んでいたかのように、ぐっと奥歯を噛みしめる。
なあ、百之助。
お前への愛の深さがはかり知れなくて、恐ろしいよ。