第18章 嫉妬*
山の部分からは先走りがしみ出ており、指先で先端をなでるとビクンッと生き物のように動いてみせる。
【慶次】
ずいぶんとここも大きくなったな。まだ指の先でしかなぞってないのに、もうこんなんだ。
【百之助】
アンタに散々仕込まれたからな。反応したくなくても反応しちまう。こんな身体にしたアンタが悪い。
【慶次】
なら一生涯、責任とってやらないとな。お前をどこにもやらせない。
【百之助】
婿にも出してもらえないのかよ。
【慶次】
ああ。一生俺のもんだ。誰にも触れさせたくない。この身体も心も声も全部、俺が独占する。
【百之助】
ますますアンタから逃れられそうにないな。
身体に覆いかぶさるように倒れると、百之助は頭を預けてくる。
愛おしく頭に口づけを落としながら、愛撫していると百之助はおもむろに訪ねてくる。
【百之助】
・・・・もし、アンタが俺を忘れるようなことがあったら、俺はどうすればいい?
──俺が百之助を忘れる?
急にそんな不安を吐き出した百之助に俺は少し戸惑ってしまう。どこか不安にさせることがあったのだろうかと頭を巡らせながら、考え抜いた答えを正直に口にする。
【慶次】
もしも・・・・。まず第一、そんなことはないだろうけど、俺が百之助を忘れるようなことがあれば、その時は俺を殺してくれ。それは俺じゃない、他の誰かだ。
俺がこんなにも愛して慈しんでいる百之助を忘れることなんてない。
年を重ねて、痴呆になっても百之助を忘れることなんてない。絶対に。
【百之助】
ふん。あとで恨んだりしないでくれよ。
【慶次】
男に二言はない。って、一度言ってみたかった台詞だな、これ。
喋る会話も少なくなり、お互い静かに見つめ合って口づけを重ねる。何度味わっても足らない。でも重なるだけで満たされる切ない甘い糸。
絡まって解けないほど、この腕の中に留めておきたい。
【慶次】
・・・・好きだ、百之助。
【百之助】
ん。
【慶次】
好きだ、・・・・好き。・・・・愛してる。
【百之助】
ん。
間近にうつる百之助の目は少し細んで潤んだように、頷きを返すばかり。
言ってほしい。
百之助からも俺を愛していると。