第12章 インポ*
俺の予想は見事的中。
【慶次】
──・・・・ほらみろ。気のせいだ。
股間を隠していた手とタオルを外すと、自慢げに見事に萎えているものを見せる。
修羅場を何とか回避できたものの、なおさら自分が重症なのかもしれないと認識し、悲しいのか嬉しいのか分からなくなって、から笑いが込み上げる。
【すず】
もう・・・・、そんなの見に来たんじゃないってば。いきなり口づけなんてしてくるから驚いたじゃない。
【慶次】
あ~、なんかいけそうな気がしたんだ。あはは・・・・。ぬッ──・・・・ん?
悟られないようにしなければと笑いを零し、ふいに背中を撫でられ、背中越しにいた百之助が俺を見上げてニヤリと笑う。その顔に目を奪われていると、ほんの数秒で唇を塞がれる。
【慶次】
(・・・・え、なに?百之助・・・・?)
百之助からの接吻。
その行為に思考が止まってしまい、金縛りにあったように動けなくなる。俺だけの時間が止まってしまったように百之助はさらに唇を惑わせ、啄んでくる。
【すず】
なっ・・・・・・・・何して・・・・。
動揺する声。
すべて水の泡になる。
萎えさせたのに。
止めないといけないのに。
・・・・でも、どうでもいいくらい気持ちいんだ。
いつも以上に求めてくる熱心な口づけ。歯止めが利かなくなって、俺からも求めるように首の後ろに手を伸ばす。求めてはダメだと理解しているのに、身体はいうことを利こうとしない。
【百之助】
・・・・・・・・ん・・・・っ。
百之助の唇に溺れるように唾液を絡ませ、重ねるたびに角度を変える。深く味わいながら、手で胸を少し押されたようにして、息をつくように隙間をあける。
【慶次】
(とうとう・・・・やっち、まった・・・・。)
後戻りが出来なくなった。
バラされる。
追い出される。
離婚する。
百之助と一緒にいられなくなる。
言葉で弁解できる度合いじゃないぞこれ。
百之助は俺の気持ちも知らずに、そっと固くなったものを手のひらで包み込む。
【百之助】
・・・・おや?俺としただけでこんなにお固くなってる。そんなに子供が欲しいなら、協力してやりますよ。
赤い舌をのぞかせた百之助は悪い微笑みを浮かべた。