第12章 インポ*
わずかに脱衣所の方から音が聞こえる。
家風呂を作ろうと思ったとき、最初はヒノキやサワラで考えていたが百之助との時間を考え、音を意識するようになった。
木材じゃ防音し切れないと思い、あざといやり方で石造りに設計してもらったおかげで防音性はバッチリだ。
【慶次】
ちっ。すずだな。おととい一緒に入ったから油断してた。
【百之助】
これどうすんだよ。女のことでも想像して萎えさせろ。役立たずなんだろ?
腰掛けから湯船に身体を沈ませ、まだ硬いままのチンポを抑え込む。
萎えさせようとげんなりすることを考えてみるものの収まりそうもない。
【慶次】
お前が近くにいるからなのか引っ込みそうもない。やっぱり、今すぐお前の中に入りたいんだが。
【百之助】
冗談いってる場合かよ。
走行している間に、その戸が開き始めた。
背中を向けたまま戸の先を確認すると、やはりすずだった。胸元はタオルで隠しているが、足を出すまえに声を掛ける。
【慶次】
──すず。百之助も入ってるんだ。もうすぐで上がるから待っててくれないか?
【すず】
家族のようなものなんだから別にいいじゃない。それに私は貴方にしか抱かれる権利はないわ。
【慶次】
年頃なんだぞ。だったら俺の親父や兄貴とも一緒に入るっていうのか?
【すず】
それはまた別よ。私のこといやらしい目で見てくるじゃない。
【慶次】
百之助がそうとも限らないだろうが・・・・って、おいッ
俺の言うことを無視して洗い場でかけ湯をし、そのまま引き下がる様子もなく、俺を挟むようにして湯船に浸かり込んでしまった。