第11章 外食*
ここ近年、西洋文化が広がり、洋服や洋食など色々なものが高値で売られるようになった。
ドリアの上に乗っかっている、白くてトロっとしたチーズという食べなれないものにスプーンを差し込み、焦げた匂いと乳臭い匂い、トマトライスのような海鮮の具が混じったものを口にする。
【慶次】
う~ん、このチーズという奴は乳臭いな。百之助、食ってみるか?
【百之助】
マズいもの俺に勧めてるのか?
【慶次】
美味いぞ。早くしないと落ちるから口開けろって。
百之助に食べた感想を聞きたい。
そのほかにあ~んして、食べさせたいっていう目論みもある。
円卓テーブルを囲み、右側に座っている百之助にドリアを乗せたスプーンを向けると訝し気に表情をしかめる。ぐいぐいと差し向けると仕方なさそうに口を開け、ドリアを頬張ってくれる。
【慶次】
(いつになく可愛いな。)どうだ。妙な乳臭さだろ。
【百之助】
欧米人が好きそうなくどい味だ。
【すず】
ねえ、私にも食べさせてよ。
百之助と密かに通じ合っていると、横槍をいれて割り込んできたすず。
目的は分かっている。
だがしかし、俺はちょっとお前に腹が立っているんだ。そんな淡い期待を打ち砕くように皿をすずの前に出すと、キョトンと目を見開く。
【慶次】
ほら、食べろよ。
【すず】
私も百之助くんみたいに食べさせてほしいな~。
【慶次】
お前はスプーンだろ。箸じゃないんだから食える。そんなマナーの悪いことできるか。
【すず】
・・・・・・・・・・・・。
流石にそこまでいうとすずはシュンと落ち込んだが、すぐに切り替えて少し膨れた顔でドリアにスプーンを突き刺す。
それで一先ず治まったのかと思えば、俺は後々自分がしたことに後悔することになる羽目になった。