第2章 冬の時期
少し広い畑に出るとしゃがみ込み、目に留まった野花を描写する。
俺は螺鈿細工も好きだが絵を描くことも好きだ。これは別の意味での息抜きともいえるし、創作活動ともいえる。
時々立ち止まっては描写し、野鳥を見つけると驚かさないように近づいてくちばしから描き出していく。
地面にある餌を突き合いながら食べており、あれは親子なのか夫婦なのか、それとも兄弟なのか分からないがとても仲良しそうだ。
【慶次】
もうちょっと右向いてほしいな・・・・。
とは言っても野鳥には届かないだろう。
他にもいろいろ描けるところもあり、余白がなくなって画帖を捲ろうとしたしたその時。
──ダァン・・・・と大きな銃声が鳴り響く。
【慶次】
な、なんだ?
その音に驚いて羽根を広げて飛び立ってしまい、音がした方へ足を向けていく。
狩猟かなにかと思ったのだが、そこには自分よりも5つは年下にみえる、大きな銃を抱えた男の子が畑に立っていた。
【慶次】
(あの子は・・・・)