第4章 風呂屋*
夕食を食べ終えてから、風呂屋へ行くことにした。
なんといっても今日は夜まで一緒だ。
言づても置き手紙もちゃんとしてきたし、幼児が誘拐されただの行方探しにはならないはずだ。
町中には風呂屋が3か所あり、俺は一番近いところではなく、一番安全な風呂屋に通っている。
なぜなら年頃になるとあの人が現れるからだ。
【慶次】
百之助はここで何か無理矢理されたことはなかったか?ちんちんをひん剥かれたり、扱かれたりしなかったかな~と思って・・・・。
【百之助】
ついでにされた。
通りすがりに何となく聞いてみたところ、あっけらかんとした様子で口にする。
【百之助】
俺より先に年長組がやられてて、俺はついでにされた。
【慶次】
へ、へえ・・・・。
すでに例のオバサンに筆おろしされたみたいだ。
その表情から痛かったのか、恐かったのか、何なのか、くみ取ることは出来ないが、何ともあっさりした反応だ。
だが、しかし。
百之助はこんなにあっさり受け流せたとしても、俺はあのオバサンを許すことは出来ない。
当時、幼かった俺は、筆おろしの事実を知るまでこの風呂屋を利用していた。偶然にもそれまでその恐ろしい現場を目にしたことがなかったのだ。そしてようやく時が来たかのように、浴室に入ってきたオバサン。
あの顔は忘れない。
赤い紅をして、獲物を喰らう肉食獣のような笑み。
太くたるんだ腕が伸びてきて、とにかく必死でどこをどうやって逃げてきたかは覚えておらず、気付いたら腰布ひとつで泣きながら家に向かって走っていたことだけは覚えている。
それ以来あの風呂屋が苦手になり、以来、別の風呂屋を利用している。
まあ、筆おろしは兄貴に面白半分でやられてしまったが。
【慶次】
俺、金貯めたら家風呂建てるのが夢なんだ。
そして、俺の中に叶えたい夢が生まれる。
あんな横暴は許さない。
だから俺のチンポは役立たずになったんだ。