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祝福されないドロップス【尾形百之助】【BL】

第24章 願い<完>




廉一は俺を殺そうとした実の兄貴だ。
危ない商売をして、俺たちが旅行に行っている間に店の金を盗んで姿を暗ました。


【廉一】
相変わらずスカした顔しやがって。本当にムカつくぜ・・・・。

【慶次】
・・・・あの、どなたかは存じ上げませんが、兄を捕まえていただき感謝いたします。あとは私たちで拘置所へ送るなり、措置をとりたいと思います。お礼とは何ですが、落ち着くまでうちでゆっくりしてください。

【??】
・・・・・・・・。

【慶次】



兄を捕まえてくれた男にお礼をしたいと声を掛けたのだが何も反応がなく、フードに手をかけたと思えば、その手を下ろしてしまう。

正直、俺は兄貴を見ても何も思わなった。

刺されたのは驚いたけど、恨むほどではなくて、恨みを通り越して失望したと言ったほうが正しいか。
廉一になんて思われていようがどうでもいい。
死んでても、生きてても、俺の周りの邪魔さえしてくれなければ何だって構わない。

男は一言を発しないまま、踝を返そうとしたところ、親父が声を掛ける。


【赤松父】
うちでゆっくりしていけと言ってるんだ。夕食の準備ができるまで、その身体を洗っておきなさい。

【慶次】
親父・・・・?

【赤松父】
慶次。風呂場に案内してやりなさい。


親父の口ぶりはまるで、子供に言い聞かせるような喋り方で知り合いなのだろうかと視線を惑わす。
縄を結んだままの廉一を抱えながら父は店の中に戻ってしまい、顔も見えない男を家風呂に案内する。


【慶次】
・・・・あの、うちの兄・・・・廉一は何処にいたんですか?

【??】
・・・・静岡の賭博所。

【慶次】
え、静岡・・・・そんなところまで逃げてたのか。あの、うちの兄貴や親父とは知り合いで?


兄貴に賞金は掛けていないため賞金稼ぎではないことは確かだ。親父のあの態度がどうも気になる。

俺は男の顔を確認したくて、のぞき見るように首を傾げる。

【慶次】
(この角度じゃ見えんな・・・・)あの、フード・・・・とって頂けませんか?

しかし、男はフードを深く被ったまま何も喋らなくなってしまう。俺は更に身を屈めて見ようとすると・・・・ふいっと顔を逸らされた。




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