第23章 忘れもの
その後も違和感を覚えながら過ごし、店の暖簾をしまいに外に出ると怪しい格好をした男二人が立っていた。
一人は頭に布が被されているため顔が見えなく、体格や足を見るからに男と判断できる。しかも、もう一人の男に拘束されているようだ。
拘束している男は肩に銃を背負いあげ、深く衣のフードを被っているため、こちらも顔が分からない。
【慶次】
・・・・どちらさま、でしょうか?
その場から動こうとしない不審な男たちは、店の前で立ち止まっている。
こちらから声を掛けないといつまでもこのままな気がして、思い切って声を掛けてみる。
【??】
ん~、んん~っ。
【慶次】
(猿ぐつわされてるのか?何の用なんだよ・・・・)
布を被されている男は俺の声を聞いてもがき始め、拘束している男は一向に行動を見せない。
不審なものを家に入れるわけにはいかない。
どうしたものかと悩んでいると、店の中から親父が出てくる。
【赤松父】
慶次、どうした。早く暖簾を・・・・・・・・廉一、か・・・・?
【慶次】
えっ、廉一?
【??】
んぐっ・・・・。
布を被っている男は捨てられるように押され、地面に横たわる。腕も後ろで拘束されており、親父はおそるおそる姿を確認するために布を取り外す。
すると親父の言った通り、兄の廉一が姿を現した。
【廉一】
ぶはっ、乱暴な扱いすんなよ!
【赤松父】
このバカ息子め!どの面下げて顔を見せに来たんだッ
【廉一】
よう、久しぶりだな~親父。少し痩せたんじゃ・・・・ぐふっ、痛って~な。どいつもこいつも殴りやがって。ぐっ・・・・。
【赤松父】
貴様のせいでどれだけ迷惑したと思ってるんだ!兄弟を刺すなんて家族のすることじゃないだろう!店の金も全部もっていきやがって──
【慶次】
お、おいっ、親父ッ その辺にしておけって!
怒りを抑えられない親父の身体を押さえ、少し距離を置く。血を吐きながら廉一はヘラヘラと笑っており、腫れあがった顔をこちらに見せる。