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覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】

第1章 声が聞こえる。



入院している間に自分の記憶と周囲の人の話を照らし合わせて、唯一被っていたのは雅紀のことだった

保育園の時からの幼なじみはどうやら海外にいるようで、離れてからも連絡を取っていたらしく、翼くん含め色々な人に話していたという


携帯は壊れてしまったので、自宅に戻ってから手帳やらパソコンやら色々な所を探していた時、海外からの手紙を見つけた

いつでも連絡して!と書かれていた手紙には、雅紀の家のものだと思われる電話番号が書かれていた

日付が数年前のものだったので引越ししている可能性もあったが、とりあえずこの時の俺が頼れるのは彼だけだった



無事に連絡が取れ、事故や記憶について話すと慌てたように日本へ帰国してきた

俺の姿を見るなり泣き出してしまった彼もまた、記憶の中より大人になっていた



それからの雅紀の行動は早くて、家族や友人に一方的に連絡を入れると俺の家に引っ越してきて生活の面倒を見てくれた

そんな雅紀と、やっぱり心配だからと言って頻繁に様子を見に来てくれる翼くんに支えられ、何とかこの4年を過ごしてきた



「じゃ、行ってくるね!」


朝ご飯を食べ終えると雅紀は仕事へと出かける

彼の仕事は通訳で、正確に、そして柔らかく訳してくれると評判が高い
人柄の良さもあり、海外タレントが来日する時にもわざわざ指名される程だ

俺の記憶の彼は確かに優しくて真っすぐな人だったけれど、勉強が出来るイメージが全く無い

むしろドの付く天然で日本語すらあやしかった

だから英語と日本語を自由自在に操っている姿を見ると、やっぱり俺の忘れている時間が沢山あるんだな、と感じてしまう
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