覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】
第3章 雅紀の恋人
「後で雅紀に連絡しとくから、夕飯一緒に食べよ?」
ぱちっとウインクをした潤くんが撮影隊の方に戻っていくとすぐに撮影が再開されたようで、不思議そうに俺を見ていた人たちの視線もタレントの方に戻った
「ふぅ、まさか潤くんがいるとは…」
「…あの人知り合いなの?」
呆然としたような声で翼くんを放ってしまったことを思い出し慌てて振り向くと、驚きを隠せない翼くんがどういうこと?と首を傾げていた
「ごめん、紹介もしないで
彼は松本 潤。幼い頃から親の仕事の都合で海外に住んでるんだ
仕事はトラベルコーディネーターっていって、旅行先の観光スケジュールを手配したり予約したりする仕事なんだって
一般人の人はもちろんだけどタレントからの依頼もあって、そういう時は一緒に来日してああやって撮影中もそばについて案内するらしいよ?」
「そんな仕事が…
でもどうして知り合いなの?」
「あぁ、雅紀と潤くんが高校の同級生らしくて、それで紹介されたんだよ
記憶なくす前もだけど、今も半年に1回くらいは会ってるんだ」
言いながら、そういえば翼くんと潤くんにお互いの話をしたことなかったことを思い出した
翼くんと雅紀がそもそも知り合いじゃ無かったし、会う時は俺を挟んで会話するから雅紀の人間関係の話になることはほとんど無い
潤くんは普段日本にいないし仕事も忙しいから会えても半年に1回
しかも2、3日夕飯を一緒に食べる程度だから、どうしても近況とか仕事の話にしかならないし
「そっか、相葉ちゃんの同級生なんだ
良かったよ、すごい俺のこと睨んでて怖かったから…」
「ふふ、潤くん顔濃いからね
…ごめんね、潤くんも俺が記憶失くしたこと心配してくれてて、知らない人に着いてっちゃダメだよ、なんて言ってくるくらいだから」
「そうなんだ?
まぁでもそれくらい心配性の方が相葉ちゃんの友達っぽい」
くすくす笑う翼くんに今度ちゃんと潤くんのこと紹介しなきゃな、と思った