覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】
第3章 雅紀の恋人
夜、用事終わりの雅紀がお台場まで車で迎えに来てくれた
潤くんもこの近くで仕事していたので結局お台場近くで夕飯を済ますことになった
紹介もしたかったから翼くんも誘ったけど、どうやら約束があるらしく帰ってしまった
「雅紀!翔くん!」
名前を呼ばれ振り返ると潤くんが走って駆け寄ってくるのが見えた
その勢いのまま雅紀に抱きつく
「久し振り、潤」
「うん、会いたかったよ雅紀
翔くんも元気そうで嬉しい」
雅紀から離れると俺にも抱き着いてくる
潤くんは幼い頃からずっと海外暮らしのせいでスキンシップが多い
よく抱き着いてくるし歩く時も肩に腕をまわしてくる
嫌じゃないから抵抗もしないけど、外では目立つから少し遠慮して欲しいと思う時はある
だけど会えるのは半年に1回だけだし潤くんにとっても普通のことだし
何より…
「雅紀、会えなくて寂しかった?」
「それは潤の方だろ?
俺は翔ちゃんと一緒だから何も寂しくなかったよ」
「おい、外で手繋ぐなって言ったろ
ここは日本なんだから」
俺がじろりと睨むと2人は苦笑しながらその手を離す
「日本はそーゆー所が嫌だよなぁ
愛し合ってる2人が手も繋げないなんてさ」
「潤、そんな言い方するなよ
翔ちゃんは俺らが変な目で見られないように心配してくれてるんだから」
「分かってるよ、ありがとね翔くん」
そう言いながら肩を組んでくる潤くん
…この2人は恋人だ
俺が何にも言わないと手を繋いだり腕を組んだりキスをしたり…
日本ではまだ偏見の目で見てくる人がたくさん居るのだからやめろといつも注意しているのだけど、どうも潤くんは人とくっつくのが好きみたいで、雅紀と離れると俺の方に来る
さすがに俺とは手を繋いだりキスしたりはしないからまだ良いかな、と思うようにした