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覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】

第3章 雅紀の恋人


にこっと笑う翼くんは、男の俺から見ても格好良いと思う

キリッとした眉毛に綺麗な二重の目
男らしい顔だけど笑顔はすごく優しい

でも4年間も俺の世話を焼いてくれてるし、話を聞いたこともないからおそらく彼女や好きな人はいないはず

もったいないと思うんだよなぁ、絶対モテると思う
見た目だけじゃなくて実際にすごく優しくて常にリードしてくれるし、俺が女の子だったら好きになっててもおかしくない


まぁ本当に彼女が出来て俺の事なんか気にも留めなくなってしまったら寂しいから、彼女つくりなよ、なんて言わないけれど



そんなことを考えていたら目的地の駅に到着した

乗る時にも通っていたおかげで降りる時の改札に戸惑うことはなかった

皆の歩くスピードが早すぎて押し流されそうにはなったけど、そこは翼くんが腕を引いてくれて助けてくれた


「うわぁ…お台場ってテレビ局のある所だよね?」

「ふふ、それって修学旅行に来た中学生みたいなセリフだね」


くすくすと笑われて、いつもだったらバカにされてるって拗ねるけど今はそれ所じゃない

翼くんは中学生って言ったけど俺の記憶は高校生から無くなっているのだからあながち間違ってもいないし


しかも俺の記憶が正しければ中学生までにお台場に来たことは無いはずだ

そして記憶を無くしてからの4年間でこんなに人の集まる所に来たことは無い


「…平日だけど意外と人多いね
翔くん、怖くない?」

「うん、大丈夫だよ
…正直楽しみな自分がいるんだ」


俺の言葉を聞いて翼くんは一瞬ぽかんとしたけど、すぐに笑顔になった

どうやら想像以上に人が多いみたいだけどそんなに怖さは無い
どちらかと言うとここには何があるんだろうってワクワクしてる
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