覚えているのは、好きだったってこと。【気象系BL小説】
第3章 雅紀の恋人
「でも雅紀と準備してたなら3人の方が良くない?」
「一緒にいると心配しすぎて絶対過保護になるって
だから今日乗れそうだったら次は一緒に乗りたいってさ」
「まぁ周りの人から見たら確かにキモイかも
雅紀の心配の仕方は大げさだから」
「ふふ、だから今日は2人ね」
心配そうな顔をする雅紀が頭に浮かんでつい笑ってしまった
2人に用意してもらった服に着替えて駅まで歩く
この道はもう何度も歩いているから大丈夫だけど、問題は駅からだ
制服を着た高校生もスーツを着たサラリーマンも、皆カードを改札にかざして入っていく
俺の知っている改札は切符を入れて向こう側で取らなければいけないが、もはや切符を入れられる改札自体少ない
「翔くん?やっぱやめとく?」
ぼーっと人が改札を通っていく様子を見ていたら心配そうな翼くんが顔色を伺ってくる
「あ、大丈夫だよ
皆カードかざしてどんどん通っていくからすごいなって思ってただけ」
「そっか、じゃあ一応カードは持ってきてるけど今日は切符買っていこうか」
「そうだね、その方がやりやすかな」
行き先はどうやら決まっていたようで翼くんが迷うことなく切符を買って渡してくれる
「お台場…?」
「うん、平日だしそんなに人多くないと思うから
逆にあんまり人いない所だと遊ぶところも無いし」
ショッピングでもしようよ、って笑う翼くんの後ろ姿を追いかける
…すごい俺の事を考えてくれたんだなと思うと嬉しくなる
改札を通ってホームに向かう
電光掲示板やら自動販売機やら多少変わってる所はあるが、中に入ってしまえば昔と大差ないように思う
「どう?久しぶりの電車は?」
「うん、そんなに怖くないよ、大丈夫」
「そっか、良かった」