【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
調査兵団の首脳陣がそんな“和やか”な会話をしている頃。
兵舎の談話室では102期調査兵たちが妊娠で退団する5人の噂話に花を咲かせていた。
しかも、その中の一人は同期だ。
「女はいいよな、デキれば兵士じゃなくても生産者に回らなくてもいいんだからよ」
アルバート・ストラングラーの言葉を聞いた女子達は、いっせいに非難の目を向ける。
「最低!女だって予定外の妊娠だったら大変なんだからね!」
「そうよ!どうせ、男なんて出産の痛みに耐えられないくせに」
「あんたみたいなひねくれた童貞野郎、相手にする女の子なんていないけどね!」
売り言葉に買い言葉だったのだろう。
アルバートは顔を真っ赤にして叫んだ。
「うるせぇな!男はみんな似たような考え方だ!リヴァイ兵長やミケ分隊長だってそうだぜ?」
「リヴァイ兵長やミケ分隊長と一緒にしないで!あんたとは細胞から違う生き物だから!」
「はーん。じゃあ、お前ら、あのリヴァイ兵長が男妾として王都に行ったの知ってるか?」
「え・・・?」
その情報は、女子たちを絶句させるのにはじゅうぶんだった。
サクラも驚きのあまり、紅茶が気管支に入って咳き込む。
アルバートは勝ち誇ったようにアゴを上げた。
「人類最強で、一見すれば美少年のような容姿だ。王都に住む貴族の御婦人方にはたいそうな人気らしいぞ」
「まさか・・・?」
「憲兵団にいる俺の友達が言っていたんだよ。とある王族の夫人が、目ん玉飛び出るぐらいの大金出してリヴァイ兵長を買おうとしたって」
「“買おうとした”?」
興味津々の目が、アルバートに集中する。
「兵長は団長に従って王都に行っただけらしいが、通された部屋の中には豪華な天蓋付きのベッドの上に、裸の王族夫人様だぜ。しかも、数年は遊んで暮らせるだけの金が目の前に積んであったんだと」
「で、で、兵長は?」