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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第6章 Untainted, Unbroken ※


人類領域外の調査と、王政府の拡大という大義名分を背負った調査兵団。

慢性的な人材不足、高い戦死率、そのくせ成果が乏しいため税金の無駄だと軽視されている。
それでも兵士たちは日夜訓練に励み、人類の活動領域を広げるために壁外へ向かった。

しかし、その裏で深刻な問題があった。

調査兵団に所属している兵士のほとんどは、10代から30代前半。
憲兵団や駐屯兵団に比べ生存率が低いため、おのずと平均年齢も低くなっている。

次の壁外調査で死ぬかもしれない。

そんな恐怖と常に戦う兵士の中には、現実から逃避するために快楽へ逃げる者も少なくはなかった。


「どうした、エルヴィン」

作戦図を眺めながら難しい顔をしているエルヴィンに、リヴァイが怪訝そうに聞いた。
窓辺に佇んでいたミケも鼻を鳴らし、団長の様子を伺う。

「いや・・・編成を組み直さなければならんと思ってな」
「兵士が足りなくなったのか?」

前回の壁外調査では、リヴァイ班の兵士を含む38名が命を落としている。
しかしエルヴィンはデスクの引き出しから封書を5通取り出すと、ため息を吐いた。

「先日、5人から退団願いを提出されてな」
「なぜだ」
「揃いも揃って、ご懐妊だそうだ」

その言葉に、リヴァイは忌々しそうに舌打ちをする。

調査兵団では、若い血気盛んな兵士達の性欲処理問題に悩まされていた。
現在の法律では生産者の確保のため堕胎は許されないが、兵士ならばその限りではなく、兵役のために堕ろすことを許されている。
しかし、水銀を使用した中絶方法は胎児だけでなく母体にも大きなリスクがあるため、身ごもった女性兵士は兵団を離れる者がほとんどだった。
しかも、その大半は父親が不明ということが頭痛の種となっている。

「いまさら頭を抱えるようなことじゃねぇだろ」

リヴァイが吐き捨てるように言った。

娯楽施設が整っているウォール・シーナから一歩も出ない憲兵団や、自宅から出勤する駐屯兵団と違い、調査兵団では妻や恋人と過ごすためのプライベートな時間がほとんどない。
だいたいが娼婦を買うが、金がない若い者は身近にいる者の肌を求める。
要は、手っ取り早く調査兵同士で済ませてしまうということだった。
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