【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第23章 My Love Blooms for You
貴方はただただ強い人。
兵士としても、人間としても、強くて美しい。
それ故に、人は彼が弱さを見せることを許さない。
誰も見たくないのだ。
彼が臆する姿を。
彼が涙する姿を。
それはすなわち、この世界から最後の希望が消えたということだから───
「リヴァイ兵長・・・」
その強さ故に、孤独な人。
この人が臆さなければならないほどの脅威から、
この人が涙を流さなければならないほどの絶望から、
守ってあげられるほどの力は、私にはない。
だけど・・・
「臆する貴方に寄り添い、涙する貴方を抱きしめてあげることはできる」
そのまま世界が終焉を迎えることになったとしても。
貴方が人類最強の重圧から解き放たれるならば、私は喜んでその脅威と絶望を受け入れよう。
静かな決意を後押しするように吹く、春の夜風。
見上げれば薄桃色の花びらが舞う空。
足元は薄桃色の花びらが敷き詰められた絨毯。
人間は足を踏み入れることが許されない壁外の山桜。
リヴァイ兵長、貴方が見せてくれたこの景色はこんなにも美しい。
静かで、厳かで、この世界が残酷であることを忘れてしまう。
雪のように地面に積もる桜を手で掬えば、柔らかい花びらが指の隙間からヒラヒラと零れ落ち、風に乗って流れてゆく。
ただ咲いては散ってを何度も繰り返しながら、花は世界を優しく見守るようにここで生きているのだ。