• テキストサイズ

【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第21章 感謝のShort Story




調査兵団の兵舎に戻ってすぐ、団長室へ向かった。

彼がやってくることは予測していたのか。
ドアをノックすると、数秒もしないうちに「入れ」という声が聞こえてくる。
リヴァイは瞬きをひとつしてからノブを捻った。


「よく戻ったな」

ドアが開ききるや否や、待ち構えていたようにエルヴィンが口を開く。
これまでずっと仕事をしていたのだろう。
机の上に広げた書類から目を離し、走らせていたペンを止めた。

「ケガがなくて何よりだ、リヴァイ」

いつもと変わらない口調の団長。
しかし、その碧眼は安堵の色を浮かべていた。



“ 壁外に行きたい ”


今思えば、リヴァイが自分からそう言ったのは初めてのことだった。
エルヴィンに“勧誘”されて調査兵団に入った彼にとって、壁外に行くのは義務のようなもの。
彼なりに壁外では何かを感じ取っているようだったが、自ら望んで“行きたい”と申し出たのは初めてだった。

しかも、その腕に桜という花の資料を抱え、ある兵士と二人だけで行くと言い切った。


「で? どうだった」

「ああ・・・良かった」


兵士長はスタスタと部屋の中央へと歩くと、机を挟んで正面に置いてある椅子に腰かける。

「それは、桜という植物が見れたことか? それとも、ブルームとの一夜の方か?」

悪戯っぽく言ったエルヴィンに、少し不満そうに眉根を寄せた。


/ 781ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp