【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「ふう・・・」
リヴァイは、 新鮮な山の空気を肺一杯に吸い込んだ。
遠く離れた異国。
すれ違う人々の話す言葉は、何一つとして理解することができない。
それでも、ずっと・・・
ずっとここへ来たかった。
「リヴァイさん! リヴァイさん!」
周囲を気にせずに自分の名を呼ぶ部下に、リヴァイは顔をしかめながら振り返る。
「なんだ、エレン」
「どんどん先に行っちゃわないでくださいよ! それでなくても外国って心細いんですから」
「なら、ついてこなければ良かっただろう」
黒いカットソーに、細身のジーパン姿のリヴァイ。
普段はスーツばかりなので、このようなラフな格好は滅多に見ることのできない姿だ。
身長160センチと小柄だが、頭が小さく手足が長いのでスタイルは良い。
「なんか、リヴァイさんと一緒に旅行なんて緊張します」
「なら、なんでついてきた」
不機嫌な顔をしていても、本当に怒っているわけではない。
むしろ、短気とは正反対の性格をしていることを知っているエレンは、満面の笑みを崩さなかった。
「そもそも、なぜお前まで日本に来た?」
「入社してからずっと同じ場所で仕事してたんですよ。もう息苦しくて息苦しくて、壁の外に出たいなぁって思いまして」
「何が息苦しいだ。まだ入社してから1年もたっていない新人のくせに」
これだから、最近の若いヤツは・・・とため息を吐いた。
エレンは入社当初こそしおらしかったものの、最近は随分と生意気な口をきくようになった。
「あんまり調子に乗ってると、そのうち本社に送り返すからな」
「すいません。日本での業務を頑張ります!」
務める会社が日本に支社を作ると聞いた時、リヴァイは出向を自ら志願した。
口が悪くて粗暴だが、かなりの成果を上げているリヴァイの海外赴任を本社は渋っていたが、無理を押し通す形で来てしまった。
すると、エレンが“リヴァイ部長が行くなら俺も行きます!”と、日本語もロクに分からないくせについてきてしまった。
「お前は東京に残ってれば良かっただろ」
またしばらくコイツのお守りをしなければらならないのかと思うと、頭が痛い。
まぁ、常に一生懸命で、目的意識の強い部下ではあるが。