【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
「ん・・・」
目を凝らしてよく見ると、花弁の向こうに白い手が見える。
ああ、そうか。
この花弁は散っているのではない。
誰かが上から落としているんだ。
頬をなぞって落ちていく桜が、優しいシャワーのようだ・・・
「サクラ・・・」
名前を呼ぶとヒラヒラと舞う花弁が止まった。
そして柔らかな笑顔が、リヴァイの目に飛び込んでくる。
「お目覚めですか?」
それは、とても愛しい笑顔。
そして満開の桜。
花の向こうに見える夜空には、数え切れないほどの星がまたたいていた。
再び、薄桃色の花弁が舞い落ちる。
一枚がリヴァイの睫毛に絡まった。
「・・・何してる」
「地面に落ちた花弁を集めて、兵長にイタズラを」
本当に兵士なのかと疑ってしまうような、純粋で無邪気な笑顔。
「兵長のお顔が桜色です」
なんだ・・・
そこにいるじゃねぇか。
しかも、二人にとって一番大事な光景とともに。
サクラ・・・
もう二度とお前に触れることができねぇのかと思った。
「・・・俺は今、どんな表情をしてる?」
泣いているのか・・・
それとも、微笑んでいるのか・・・
すると、サクラは花びらを降らすのをやめ、ふわりと微笑んだ。
「どちらでもありません」
その返答に、少しがっかりした。
これだけ胸が張り裂けそうな思いをしたというのに、自分は相変わらず無表情なのか。
「・・・結局、俺はお前に笑顔を見せられないんだな」
「でも、涙も見なくて良かったです」
貴方が悲しみに包まれているのを見たくありませんから。
「サクラ・・・」
耐え切れなくなって両腕を伸ばし、その手を掴んだ。
枕元で膝をついていたサクラの手を引くと、持っていた花弁がすべて舞い散る。