【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
雪山を越え、訓練兵団を目指す。
兵舎には行ったことがないが、どこへ迎えばいいか自然と分かっていた。
そして、数メートル先も見通すことができない視界の中、かろうじて灯が見える場所まで辿り着く。
「あ・・・!!」
助かったという安堵からか。
ロゼを支えているサクラの瞳に涙が浮かんでいた。
良かった・・・
今度こそ、自分はサクラを救ってやることができた。
これがたとえ夢だったとしても・・・
そう思った瞬間だった。
サクラが外套とジャケットを脱ぎ、リヴァイに歩み寄る。
そして、一言。
「狼・・・あなたのおかげよ」
リヴァイはその時初めて、自分が狼の姿になっていたことを知った。
“ 私がまだ訓練兵だった頃・・・私は、死ぬはずだった運命を助けてもらいました ”
“ 死を覚悟した時、一匹の狼に出会ったんです。銀色の毛並みが綺麗な、野生の狼でした ”
あぁ・・・
“ その狼はロゼを温め、私にどの道を進めば良いか教えてくれました ”
サクラ・・・俺達は・・・
“ あの狼に出会った瞬間、私のリミッターは外れたのだろう、と ”
俺達は、もう出会っていたんだな。
“ 狼は、兵長が持つ力そのものだったんです ”
リヴァイの目の前に差し出された、白い腕。
「私があなたのためにしてあげられることといったら、新鮮な肉を食べさせてあげることくらい。でも、どうかこの腕一本だけにして」
何言ってる・・・
サクラ、お前は調査兵団に入るんだろ。
片腕では満足に立体機動装置を扱えない。
リヴァイは唇の代わりに、首筋にキスをした。
「お前に血を流させるつもりはない・・・生きろ」
言葉は発することができない。
しかし、強く、強く心の中で願った。