【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
ウォール・マリア市街地を抜け、民家もまばらな草原となった所で、先頭を走るエルヴィンが右腕を大きく横に突き出した。
「長距離索敵陣形!! 展開!!」
その瞬間、それまで一つだった隊列が分散し、それぞれの方角へ向かって前方半円状に陣形を成していく。
団長が考案した遠征用陣形。
その中心前方、次列・中央には調査兵団の心臓部であるエルヴィン、遊撃部隊のリヴァイ班、そしてサクラが所属するハンジ班が配置されている。
壁外調査直前に渡された作戦企画紙を見た時、サクラは驚いた。
当初、ハンジ班は巨人捕獲作戦のため、右翼側後方の配置だった。
しかし、新たに配られた企画紙では、エルヴィンやリヴァイとともに一番安全な場所とされる次列中央へ移動していた。
「私の体調を考慮したからですか?」
出発前、サクラはハンジに詰め寄った。
もし、自分が倒れたせいで陣形を組み直したのなら、兵団に大きな迷惑をかけたことになる。
申し訳なさそうな顔をしているサクラに、ハンジはニコリと微笑んだ。
「それも少しはあるかもね。でも、私が暴走しないようにということだそうだ」
「では、巨人捕獲作戦は?」
「残念だけど中止だ。前回の遠征であまり成果が出なかったから、今回は行路整備や補給物資の運搬に力を入れるようだ」
「そう・・・ですか・・・」
サクラはトロスト区の前門の遥か上を見上げた。
雲一つない、快晴。
自分達はこれから、いつになるか分からない大規模なウォール・マリア奪還作戦のために、大部隊が移動するためのルートを確保しにいく。
4年間かけて行ってきたこの整備に、数え切れないほどの調査兵が命を落とした。
でも・・・それが本当に調査兵団の仕事なのだろうか。
他にすべきことがあるのでは・・・
ハンジが調査兵である理由は、あくまで巨人の謎を明かすため。
それこそが、調査兵本来の目的であるはずだ。
自分のせいでそれを邪魔してしまったとしたら・・・