【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第20章 Until We Meet Again... ※
リヴァイの脳裏にも、ハンジの言葉が蘇る。
“ リヴァイも巨人の実験に来るといいよ。あの子の危うさがきっと分かる ”
“ あの子はね、シガンシナ区出身なんだ。3年前、巨人に母親を殺され、当時の駐屯兵は自分が助かるために彼女の弟を巨人に投げつけたそうだ。そして、混乱の中で父親も失った ”
“ 驚くことに、あの子は母親を殺した巨人を恨んでいないんだ。しかも、弟を殺した駐屯兵も恨んでいない。リヴァイ、お前にそれが理解できるか? ”
きっと今もそれは理解できていない。
それでも確かなことはある。
「ハンジに感謝しねぇとな」
自分にとって、この腕の中の存在は、何ものにも代え難い。
「あいつのおかげで、俺は人を心から愛することができた」
そう言って口付けると、サクラは嬉しそうに微笑んだ。
しかし、何かを思い出したのか表情を曇らせる。
「エルヴィン団長が言っていました・・・貴方は団長のために死を選ぶこともあるだろうって」
「おい・・・気持ち悪い言い方をするな」
そう言って顔をしかめるリヴァイだが、その言葉を否定はしない。
「貴方は団長が私を守ってくれるはずと信じている。だから、もし団長に危険があれば、盾となって死ぬことができると言っていました」
「・・・・・・・・・・・・」
「でも・・・たとえ間接的だったとしても、兵長が私を守るために死んだら・・・絶対に許せないと思う」
「サクラ・・・」
自分のために誰かが犠牲になることだけは、耐えられない。
それが貴方だったら・・・私は・・・
「きっと自分を許す事ができなくて、私自身を殺したくなるでしょう」
後輩の死でさえも、サクラは自分を責めて死のうとした。
それを止めたのはリヴァイ。
サクラが自身に向けていた怒りを、自分にぶつけさせた。
それができるのは、この世界でリヴァイただ一人。
深く、激しく愛しているからこそ成し得ることだ。