【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第2章 Light Behind the Clouds
『 Light Behind the Clouds 』
調査兵団入団初日。
朝4時30分。
太陽が顔を出す少し前に目覚めたサクラは、窓から空を見上げて天気を確かめる。
今日は、晴れだ。
寝巻きを脱ぎ捨て、下着をつける。
ふと、壁に取り付けられた鏡に腹が映っているのに気がつき、ため息を吐いた。
「これが・・・女性の体なのか・・・」
みぞおちから、下腹部に向かって深い溝が縦と横に刻まれている。
見事なまでに割れてしまった、腹筋。
立体機動装置でバランスを取るためには、常人離れした体幹筋肉の強さが必要となる。
初めて立体機動の訓練をした日は、腹筋と腰の筋肉痛で立ち上がれなかった。
でも今は、垂直だろうが水平だろうが、空中で何時間でもその体勢を保つことができる。
訓練着に着替え、髪を結う頃には眠気はすっかり覚めていた。
少しの水を口に含み、冷たい風が頬をかすめる外へと出た。
朝の鍛錬は欠かしたことがない。
ほぼ全速力で10キロのランニングをした後は、全身をまんべんなく鍛える。
そして、片手で逆立ちをしたまま、30段ほどの階段の昇り降りを左右10往復ずつ。
極限まで鍛えなければ、巨人とは戦えない。
訓練兵だったころは、ロゼが毎日付き合ってくれた。
何もせずとも成績優秀で、座学から対人格闘技に至るまで常にトップクラスだったのに。
でも、今はそのロゼと離れてしまったから、一人でトレーニングだ。