【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第18章 Till Death Do Us Part ※
大きな地響きと砂埃を巻き上げながら、1体の15メートル級が地面に沈んだ。
その首筋は大きく抉れ、頭上には小柄な男が呼吸一つ乱さずに立っている。
辺りには、同様に骸となった巨人が5体。
まるで間欠泉のように血生臭い蒸気を上げていた。
そこへ、馬に乗った団長がやってくる。
「リヴァイ」
巨人の死臭が鼻についたのか、顔をしかめた。
そんなエルヴィンに気づき、リヴァイはヒラリと巨人から飛び降りる。
「何故戻ってきた。ここは俺に任せて先に進めと言っただろうが」
刃に付着した巨人の血をハンカチで拭きながら、リヴァイは眉間に深いシワを寄せた。
団長の班が襲来を受けたから自分がここに残ったのに、これでは意味がない。
先に逃げるよう言ったはずのエルヴィンが、副官も連れずに戻ってくるなんて。
「6体も同時に相手にするのは、流石のリヴァイでも無謀だと思ったのだが杞憂だったようだな」
「あ? デカくて面白ぇツラしてるだけの奴らだ、何体同時にかかってこようが関係ねぇ」
「そう言うな、少しぐらいお前の心配させてくれてもいいだろう」
「ハッ! 俺の心配する暇があるんなら、てめぇが死なねぇ努力をしろ」
馬に飛び乗りながら、吐き捨てるように言った。
万が一、エルヴィンが奴らの胃袋に収まってしまったら、自分達はこの壁外で司令塔を失う。
それだけは避けなければいけない、馬鹿でも分かることだ。
「俺が全ての危険を引き受ける。てめぇはただ前を向いて、兵団を引っ張ってりゃいい」
「・・・ああ、悪かったな」
エルヴィンはやれやれと肩を竦めた。
同時に、ここまで頼りになる仲間はいない・・・そう思って顔を綻ばせる。