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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第17章 Painting Of Love









その後、画家はサロンに一枚の絵を出展した。
それは酒場の娼婦をモデルにして描いた、天使の絵だった。

画家の絵は酷評され、一流の仲間入りを果たすことはなかった。


しかし、才能に溢れていた画家は、いつしか芸術を追求するのではなく、庶民の何気ない生活や、肖像画を描くようになった。

そんな画家の評判はたちまち広がり、彼の作品は広く愛された。



比較的若くして寿命が尽きた画家は、最期にこう言い残したという。


「私は人生の中で何千もの絵を描いてきた・・・しかし、本当に満足のいったものは二点だけ」


病床に伏しながら指差した、一枚の絵。
それは、生涯肌身離さず大切にしてきたものだった。

薄桃色のストールに身を包み、柔らかな笑顔を向けている少女。
誰もがその絵を見ると自然と笑みが零れ、いつしか『桜の微笑』と呼ばれるようになっていた。


「そして、もう一点は・・・」

画家は落ち窪んだ目を窓に向け、口元を綻ばせる。
その瞳には、今は必要の無くなった防壁を象徴する女神と、人類最強の兵士が寄り添う姿が映っていた。



「二人が再び巡り会えた時、本当の価値を取り戻す・・・」



その言葉の意味を理解した者は、看取った者の中にいない。
それでも画家は、幸せそうに微笑んでいた。






第17章 『 Painting Of Love 』 Fin.





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