【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第15章 A Lullaby In My Heart
「ん・・・」
リヴァイが目を開けると、そこには綺麗な色に溢れた景色が広がっていた。
真っ白な光の中で、まだ星が残っている空を見上げている愛しい顔。
「サクラ・・・」
起きたことに気がつき、柔らかな微笑みを見せてくれる。
ああ・・・間違いない。
これこそが永遠であれと願う、一番幸せな瞬間だ。
「お目覚めですか、リヴァイ兵長」
リヴァイは軽く頷くと、サクラの顎を引き寄せてキスをねだった。
唇が触れ合う心地良さに、まだ夢の中にいるのではと疑ってしまう。
「ぐっすりと眠ってましたね」
「・・・ああ、夢を見てた」
「どんな夢ですか?」
どんな?
「・・・・・・忘れた」
いや、忘れたわけではない。
思い出したくないだけだ。
たとえ夢の中であっても・・・お前がいない世界など。
「それより、今、歌を歌っていただろう」
「はい、子守唄を」
「・・・もう一度歌ってくれねぇか?」
だけど、サクラは首を横に振った。
「残念ですが、もう太陽が昇ります」
もう、二人だけの時間は終わり。
新しい一日が始まる。
「また兵長が眠りにつく時に歌って差し上げます」
朝日を浴びながら、微笑むサクラ。
その時が来ればいいと、切に願う。
いや、そんな心配は無用だ。
サクラがいるこの世界を、サクラが愛するすべてを、守る。
それは俺以外に適役はいない。
ラベンダーを歌った子守唄。
はっきりと聞かなかったものの、そのメロディーは優しい記憶の一部としてリヴァイの胸に刻まれていた。
第15章 『 A Lullaby In My Heart 』Fin.