【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第14章 Blow-job and Heart-job ※
翌日。
ナナバと肩を並べて廊下を歩いていたゲルガーの尻に、突然強烈な蹴りが入る。
「痛ぇ! 誰だっ」
振り返ると、そこには人類最強の兵士長様が額に青筋を浮かべながら立っていた。
「リ、リヴァイ兵長・・・」
「よう、ゲルガー。俺のことをずいぶんと心配してくれてたらしいな」
・・・そう言うわりには、明らかに殺気立っている。
「てめぇの名前を引き出すのに相当苦労したぞ」
「・・・サクラちゃん、生きてるよな?」
「さあ。今ごろ、寝込んでるかもしれねぇな」
何故いきなりフェラチオなんぞしてきたのか、やはりどうしても気になった。
何度サクラに聞いてもはぐらかしていたが、最後は息つく間もなく与えられる快感に耐えきれず口を割った。
「てめぇ・・・余計なコトを吹き込みやがって」
「まぁ、そう怖い顔するなよ。おかげでイイ思いできたんだろ?」
「そういうことは俺が教える。出しゃばるんじゃねぇ」
「なるほどね」
ゲルガーは何かを察したらしく、ニヤリと口元に笑みを浮かべる。
「他の男とそういう話をさせたくないわけね。リヴァイ兵長は意外と執着心が強いんだな。そんなんだと、そのうち嫌われるぞ」
するとリヴァイは僅かに表情を緩め、ゲルガーから目を逸らす。
「・・・・・・それは百も承知だ」
いつかサクラは自分を怖がり、嫌うかもしれない。
だけど、それでも抑えられない。
今まで誰かにここまで執着したことはなかった。
「ゲルガー」
見上げるリヴァイの瞳はどこか儚げで。
ゲルガーもその空気を読み取り、真面目な顔になる。
「感謝してる」
お前のおかげで、お互いに遠慮して踏み越えられなかった一線を越えることができた。
その点については有難く思っている。
「ありがとな」
「リヴァイ兵長・・・」
相変わらず、人を寄せ付けない雰囲気は漂わせている。
しかし、今のリヴァイにピリピリした空気は、もうどこにも無かった。
やはりサクラを焚きつけて良かった。
久しぶりに穏やかなリヴァイの顔を見たような気がする。
ゲルガーとナナバは顔を見合わせると、廊下の向こうへ歩いていくリヴァイには気づかれぬよう、そっと吹き出した。
第14章 『 Blow-job And Heart-job 』 Fin.