【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
“リヴァイと一緒にいた時、酒場で女を買おうとしたんだけど、あいつなんて言ったと思う?”
“金のために股を開くメス豚には興味ねぇ、気持ち悪い・・・だってさ。男としてありえねぇよな”
“良い女がヤラせてくれんなら、金くらいナンボでも払うっつーの”
ゲルガーと違って、潔癖なリヴァイなら考えられる言葉だ。
でも、その彼がなぜこのような場所に・・・?
「ミケ、先に帰っていて」
「お前はどうする?」
「私はあの店の中を見てくる。リヴァイがもしそこにいるのなら、ちょっと心配だからね」
ミケの鼻は何よりも信用できる。
おそらく、本当にリヴァイはここにいるのだろう。
「お前を一人で行かせるわけにはいかん。俺も行こう」
「ううん、私一人でだいじょうぶだよ。武装はしていないけれど、対人格闘術なら心得ているしね」
リヴァイとは1対1で話したい。
彼の心の奥を知りたい。
ミケは鼻を鳴らした。
「なるほどな・・・」
何も言わなくても、ハンジの気持ちを察してくれる。
「では俺は先に兵舎へ戻っている。リヴァイはどうやら、あの建物の2階にいるようだ」
ミケが指差したのは、路地裏の一番奥にある売春宿だった。
「・・・ありがとう、ミケ」
「礼には及ばない」
エルヴィンから誰よりも厚い信頼を受けているミケは、ハンジの肩を叩くと道の向こうへ消えて行った。