【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
「あはは、これはこれはご両人・・・いつの間に」
「モブリットがお前に声をかけていたくらいからだ。よほど我々は存在感が薄いようだな」
柔和に微笑みながらも、しっかりと嫌味は忘れないエルヴィン。
リヴァイは興味なさそうに目を逸らすと、さらにチクリと刺してきた。
「なあ、エルヴィン・・・メガネを分隊長にしたのは間違いだったんじゃねぇのか? 第二分隊の奴らが全滅したらどうする」
エルヴィンと違い、リヴァイは無表情で辛辣なことを言うから相手に与えるダメージは大きい。
モブリットはおろおろしながら、リヴァイとハンジを交互に見た。
しかし、ハンジはまったく意に介していないようで、にっこりとリヴァイに笑顔を見せる。
「そんなことないよ。私は自分の部下を大事にするからね」
「・・・そう願うぜ」
「そういうリヴァイはどうなの? 独自の班を作るんでしょ」
通常、各班の人員は兵士の力量が偏らないように、兵団全体のバランスを見て決められる。
しかし、リヴァイは例外的に所属兵士を自ら指名し、一つの班を作るという。
当初は他の分隊長や班長クラスの兵士と衝突になるのではと懸念されたが、リヴァイの実力はいまや誰もが知るところで、特別待遇に異論を唱える者はいない。
「どういう基準で選ぶの? やっぱり性格? それとも信頼できるかどうかかな?」
「そんなものはどうでもいい」
リヴァイは冷たい瞳をハンジに向け、横にいるエルヴィンを親指で指した。
「基準は“実力”のみだ。こいつからの命令も遂行できねぇような弱い奴は、俺の班に必要ない」
「でも性格とか相性とか、大事じゃない?」
「別に友達を作りたい訳じゃねぇ・・・部下の性格や相性など、一番どうでもいいことだ」
兵士として役にたつか、足手まといにならないか、それが重要だ。
そう言い放ったリヴァイを見て、ハンジの眼鏡がキラリと光った。