【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第9章 The Winds Blow For You ※
彼の戦う姿を見た時、思わず滾った。
それは見たこともない方法で、見たこともない強さで。
彼ならばきっと、人類の大きな希望となるだろう。
そう確信した。
「リヴァイだ・・・」
ある日突然エルヴィンが調査兵団に連れてきたゴロツキは、そう名乗った。
傍らには、イザベル・マグノリア、ファーラン・チャーチという仲間もいた。
ハンジにとってリヴァイの第一印象は、とくに濃いものでは無かった。
しかしそれは、初めて一緒に壁外遠征へ赴いた時に大きく変わる。
訓練兵時代は立体機動が苦手だったハンジにとって、独特な操作方法で瞬く間に巨人を倒した彼は、まるで曲芸師のようだった。
素直に感動したし、できることならその技術を学びたいと思った。
何より、リヴァイという人間を貪欲に知りたくなった。
しかし・・・その壁外遠征で、彼の仲間は二人とも命を落とした。
そしてそこでエルヴィンと何らかの約束が交わされ、リヴァイはここに残った。
きっと調査兵団は彼の居場所となる。
そう思っていた。
だけど、本当のところは違うのかもしれない。
イザベルとファーランが死んでからというもの、リヴァイの口から“仲間”という言葉が出ることがなくなった。