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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第8章 Beneath A Gentle Shower ※




おまけ 〜その1〜





突然差し出されたグラスに、兵舎の屋上から景色を眺めていたリヴァイは怪訝そうにエルヴィンを振り返った。


「・・・なんだ、これは」

「酒だが。お前には林檎ジュースかなにかに見えるのか?」

人を小馬鹿にするような物言いに、明らかに機嫌を損ねた表情を浮かべる。

「ああ・・・てめぇのションベンかと思ったぜ」

すると、エルヴィンは声を上げて笑った。

「そんなものを仰々しくグラスに入れて飲ませようとしたら、人として終わっているだろう」
「お前、いちおう人間だったのか」
「まあな」

屋上の壁に座っているリヴァイの手元にグラスを置く。
ここは彼の密かなお気に入りの場所だということを知っていた。

そして、心に迷いがあると、大抵はここで物思いに耽っていることも。

「まだ太陽が出てるのに呑むつもりか? 調査兵団のトップが聞いて呆れる」
「まあ、いいじゃないか。これは上等なものだぞ、ナイルにもらったんだ」
「・・・・・・・・・・・・」

“乾杯”とばかりにグラスを鳴らし、エルヴィンは一口の酒を喉に流し込む。
リヴァイはそれを横目で見ただけで、自分はグラスに触れもしなかった。


「ブルームは予想通りの返事だったな」

リヴァイをただ信じ、危険な壁外調査を引き受けたサクラの姿を思い出して青い瞳が揺れる。
すると、黒髪からのぞく三白眼がエルヴィンに向けられた。

「その割にお前は納得したように見えなかったが?」
「俺は二人だけで壁外に行くことそのものに納得していない」
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイの瞳がスーッと冷たい色に変わっていったのに気づき、エルヴィンは宥めるように微笑んだ。

「安心しろ、だからと言って邪魔をする気はない。その証拠に、駐屯兵団に協力するよう要請してきたところだ」

「・・・すまねぇな」

エルヴィンは“礼には及ばない”と呟き、酒をあおる。
喉を抜ける熱さを感じながら、背中を丸めて遠くを見つめるリヴァイに目を向けた。


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