【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第8章 Beneath A Gentle Shower ※
ウォール・マリア旧市街地の外れ。
正午を過ぎようとしている頃、エルドが建物の屋根から草原の向こうに目を凝らしていた。
「エルド、何か見えたか?」
グンタの言葉に、首を横に振る。
「もうそろそろ帰ってきても良い頃なんだが・・・」
やはり、何が何でもついて行くべきだった、とエルドは唇を噛んだ。
いくらリヴァイといえど、一般兵士と二人だけで壁外遠征なんて無謀だったんだ。
「クソ・・・!」
「エルド、イラついても仕方が無い。兵長を信じろ」
グンタがエルドの肩を叩いた時だった。
東の空に信煙弾の狼煙が昇る。
「兵長だ!」
エルドよりもグンタの方が先に叫んだ。
まるで、本心では誰よりも心配していたかのように。
さっそく応答の煙弾を撃つ。
見ると、ちゃんとサクラの姿もあった。
「兵長・・・さすがだ。本当に行って帰ってきたよ・・・」
すると今度はエルドがグンタの肩を叩いた。
「おい、俺達の仕事は兵長とサクラを無事にウォール・ローゼまで帰還させることだ」
それができるのは、リヴァイ班だけ。
「きっと二人は疲れてる。俺達だけでこの先にいる巨人をすべて倒すぞ」
「了解」
そんな二人は、リヴァイの方からもよく見えた。
剣を抜いて臨戦態勢に入っているその姿が頼もしい。
さすが、俺の班だ。
リヴァイは目を細めた。
「サクラ。やはり俺の班が迎えに来てる」
「それだけ兵長は人望が厚いということですね」
「いや・・・アイツらがバカなだけだ」
班長に負けず劣らずのな。
リヴァイの声はどことなく嬉しそうで。
リヴァイ班、無事に帰って来たぞ。心配かけたな。
エルヴィン、お前の危惧は取り越し苦労だったぞ。
ハンジ、サクラは無事だ。これで文句ねぇだろ。
みんな・・・感謝している。
サクラとともにローゼへ帰還する、リヴァイの口元がほころんでいた。
第8章 『 Beneath A Gentle Shower 』 Fin.