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【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati

第7章 Lavender


刺すような冬の寒さが和らぎ、季節が変わろうとしている、ある夜。
明かりが灯った鍛錬場で、リヴァイは汗を流していた。

両手足に重石を付け、巨人に見立てた人形に斬りかかる。
立体機動装置をつけていないので高く飛び上がることはできないが、壁に無数にある5センチ程度の突起を足がかりにして10メートル上まで駆け上がり、うなじ部分を切り落とした。


「さすが、リヴァイ兵長!!」

総重量40キロの重石を付けたリヴァイが床に飛び降りると、オルオが興奮気味にタオルを突き出してくる。

「やっぱ、ヤバイっすね!立体機動無しであそこまで軽い身のこなしができるのは、兵長以外にいねぇっすよ!」
「・・・・・・・・・・・・」

日中は一般兵士が使用する鍛錬場。
リヴァイは毎晩10時から2時間ほどここで体を鍛えたり、剣の腕を磨く。

「兵長、俺を鍛えてくださいよ!兵長のようになりたいっす!」
「・・・うるせぇな」

今までは一人で心ゆくまで鍛錬できていたのだが、いつからかオルオが押しかけてくるようになった。
器具を用意したり、水をくんでくれたりするのは有難いが、稽古をつけてくれと頼むのはやめて欲しい。

「兵長が夜な夜なトレーニングしているのを知ってるのって、きっと俺だけですよね!」
「・・・みんな知ってると思うが」
だからこの時間はリヴァイのために鍛錬場を空けておいてくれる。
ただ、ずかずかと中に入ってくるのはオルオだけ、という話だ。

リヴァイはため息を吐きながら、大量の汗を吸ったシャツを脱いだ。
見事、6つに割れた腹筋にオルオがまた歓声をあげる。

「兵長の筋肉、本当にすごいっすね。背中も綺麗な逆三角形だし」
「・・・兵士やってたら普通じゃねぇのか?というか、舐め回すように見るのをやめろ。気持ち悪い」
「あ、すいません。あんまり兵長がカッコイイもんで!」
そこ、鼻息荒くして言うところか?
リヴァイのこめかみに青筋がたった。
「お前、明日からもう来るな」
「えええ!!そんな、俺も付き合わせてくださいよ!」
「いいや、来るな。どうせ何もしねぇで見ているだけだろ。気が散る」
「見てるだけもダメっすか?兵長に鍛えてもらえないなら、せめて見取稽古させてください」
「そんなんじゃなんの役にも立たねぇよ」

するとオルオは首を強く横に振った。

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