【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
コチコチと、壁に取り付けてある時計の秒針が音をたてる。
どれくらい時間がたっただろう。
エルヴィンはすぐ隣に脚を組んで座っているリヴァイを横目で見た。
「だいじょうぶか、リヴァイ」
「・・・なぜ、そんな事を聞く」
微動だにせず返事をしたリヴァイの目は、怖ろしく冷たい光を放っている。
「いや・・・なんとなくだ」
「・・・・・・・・・・・・」
リヴァイを呼んだのは間違いだったか?
一瞬、後悔をした。
しかし、自分が呼ばずとも、きっとハンジがそうしただろう。
自分以外にリヴァイを屈服させることができる人間がいるとしたら、それは彼女しかいない。
なのに、なぜこのような事が起きてしまったのだ。
表情にさほど変化が無いリヴァイの横で、エルヴィンは渋い顔で目を閉じた。
しばらくして、部屋の中からボソボソと話し声が聞こえ始める。
きっとサクラが目を覚ましたのだろう。
会話の内容までは聞き取れないが、パニックにはなっていないようだ。
「そろそろいいだろう」
エルヴィンがドアをノックすると、すぐにハンジが出てきた。
そして、リヴァイの顔を見るや、眼鏡の奥にある瞳がわずかに揺れる。
「リヴァイ・・・」
ハンジが思わず呟いてしまったのも無理はない。
青白いその顔は、まったく感情を表に出していない。
しかし、内に秘める激しい怒りがそうさせているのか、まるで悪魔のように目の淵が赤く染まっていた。