【リヴァイ】Calmi Cuori Appassionati
第6章 Untainted, Unbroken ※
その夜。
リヴァイは夢の中にいた。
どこまでも続く荒野。
無限に広がっているはずの世界はとても息苦しく、孤独だった。
そこまではいつもと同じ。
だけど、ひとつだけ違う部分があった。
「空が赤ぇな・・・」
リヴァイは呟いた。
夕焼けとも、朝焼けともいえない不吉な赤。
嫌な予感がする。
誰か、血を流しているのか。
誰だ・・・誰が傷ついてる?
背後から悲鳴が聞こえたような気がして、ゆっくりと顔だけを横に向けた。
何も見えないし、誰もいない。
だけど、何かが起こっていることだけは確かだった。
ポトリと、頬に一粒の水滴が落ちてくる。
「・・・涙・・・?」
なぜか心が締め付けられるように痛い。
同時に怒りが湧き上がってきた。
ここにボーッと突っ立っている場合じゃない。
この世界から出ろ。
起きろ!
リヴァイが唸り声を上げた、その瞬間。
「起きろ、リヴァイ!!」
けたたましくドアを叩く音と、エルヴィンの怒鳴り声で目が覚める。
窓を見ると、まだ太陽は出ていない。
舌打ちをしてから起き上がると、上半身裸のままドアを開けた。