第2章 プロローグ
――ここはどこだろう?
私は首を巡らせ、ぐるりと周囲を見渡す。どこまでも続く鮮やかな緑と、頭上から降り注ぐ強めの陽射し。
ゆっくりと頭が働き出し、ここが森の中であることを認識した。
まだ頭がぼんやりとしている。
軽くめまいを覚えて額を押さえると、黒い影が過(よぎ)ったのを視界の端で捉えた。
それを見た私は、なぜか何も考えることなく、その影を追いかけ始める。
木々を横目で見送りながら、私の頭に疑問が浮かんだ。
どうして、私は追いかけているのだろう?
そんなことを考えながらも、私は足を止めない。
それどころか、無意識に走る速度を上げていた。
やがて、森のはずれまで来ると、黒い影は木の下にぽっかりと空いた穴に飛び込む。
その影を追いかけて、私も迷いなく穴に飛び込んだ。
視界が暗転した。
ゆったりと落下していると同時に、どこか浮遊感に包まれる。
あの影はどこへ行ったのだろうか?
また、先ほどよりも強い目眩がした。
すると遠くで「キンコンカン」と、間の抜けた音が聞こえた。