第21章 白ウサギの正義(白ウサギEND 帽子屋ver.)
【選択肢】
→①遥都先輩とのことを話す
②遥都先輩とのことを話さない
* * *
「実は――……」
私は昼間の遥都先輩の件をシロに話した。
正直、このやり場のない怒りを持て余していたし、誰かに聞いてもらえば楽になるかと思ったからだ。
思った通り、話しているうちに段々と頭が冷え、いくらか冷静になれた。
「……と、いうわけで。もう一度屋上に行ってくる」
「え?」
目を丸くするシロに、私は逆に「え?」という感じだ。
「来ないでって言われたんだし、行かない方がいいんじゃないかな?」
「来るなと言われて『はい、そうですか』って引き下がれるわけないでしょ。理由も曖昧に誤魔化されちゃったし……せめて、そこははっきりさせておかないと気が済まない」
「アリスちゃん……」
カバンを手に廊下へ出ると、その後ろをシロがついてきた。
「あたしも行くよ」
「シロが来ることないじゃない。第一、今日は委員会があるでしょ?」
「委員会より、アリスちゃんの方が心配だよ!」
「心配って……」
見知った先輩に会いに行くだけなのに、何が心配なんだか。
シロはカバンの中身を確認し、大きく頷いた。
「大丈夫だよ、アリスちゃん。アリスちゃんのことは、あたしが守るから」
「ただ先輩に会いに行くだけなのに大げさね……」
「だからついて行くんだよ」
「え?」
シロの呟きを聞き取れず聞き返したが、彼女は「ううん、何でもない」と微笑んだ。
シロの気合いの入れ方に苦笑しながら、私たちは屋上へ向かった。
* * *