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不思議の国のモンダイジ!

第20章 白ウサギの狂気(白ウサギEND 眠りネズミver.)


 下駄箱へ行くと、祢津が珍しく神妙な顔をして立っていた。

「祢津、どうしたの? そんな難しい顔して」

「あ……アリサ……」

 アリスだから。
 カチンッと来たが、黙って話を聞いてやることにする。

 よく見ると、彼は何か持っているようだ。

 私の視線に気づいたのか、祢津はそれを見せてきた。

「実はこれ……下駄箱に入ってて……」

「……っ」

 彼が見せたのは一通の手紙だ。

 そして、それがラブレターであると、すぐに直感した。
 それを裏づけるように、封筒もそこから覗く便箋も薄い桃色をしていた。

 私は思わず俯いて、何も言えなくなってしまう。

「こういうの初めてで……手紙には今日の放課後、中庭へ来て欲しいって書いてあるし。オレ、どうしたらいいのかな……?」

 そんなことを聞かれても、答えられるわけがなかった。

 女の子からの告白なんて……行って欲しくない。

 黒く重たい鉛のようなものが、胸の奥深くへ沈んでいく。

「……アリサ……?」

 私は反射的に彼を突き飛ばした。

「……っ、あ、アリ――……」

「私はアリサじゃない! そんな名前で呼ばないでッ!!」

 よろめく祢津を置いて、私はその場から逃げ出した。

* * *
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