第14章 眠りネズミルート(2)
「それでね、チュー助さんは、ナンパたちを一撃で撃退したんだ。チュー助は腕っぷしが強いから、大の男十人だって倒せるんだよ。でも、ジャマンダを倒せるのは魔法少女だけだから、チュー助さんじゃどうにもできない。そんなときに出会ったのがアリサさ! あ、この『アリサ』はキミのことじゃなくて、チュー助さんが出会った方のアリサなわけで……」
火がついた祢津が、アリサとチュー助(さん)の出会いや、友情が芽生えた瞬間を力説するが、この話はいつになったら終わるのだろうか。
突っ込みどころも多すぎてため息しか出ない。
私は聞いたことを後悔しつつ、仁王立ちでポーズを決めるネズミのマスコットをポケットに戻した。
* * *
つつがなく授業が終わり、私は教室で帰り支度をしていた。
「あれ? アリスちゃん、カバンにそんなマスコットつけてたっけ?」
何のことかと一瞬考えて、祢津からもらったネズミだと分かった。
「……あぁ、これ……」
秋葉原のメイド喫茶で働くアリサを、その腕っぷしでナンパたちから助け、悪の組織ジャマンダと戦う力を授けた、ネズミのチュー助さんのことか。
嬉々として語る祢津を思い出し、軽い頭痛を覚えた。
「アリスちゃん、大丈夫? ちょっと顔色悪いよ?」
「大丈夫。……えっと、これはね……つけてるとご利益があるらしい?」
そもそも、何のご利益があるのか聞いていなかった。
カバンには何もつけていなかったし、単に「カバンにつけるとご利益あるよ」と言われたから、何も考えずにつけてしまった。
外そうかな……。
「ご利益? なさそうに見えるけど……」
そうですよね! やっぱり外そう。
「カバンに何かつけたいなら、ウサギがいいよ。カワイイし」
「それはシロがウサギ好きなだけでしょ。それより、委員会に遅刻するよ?」
「あ……」
そう言うと、シロは慌てて時計を確認した。
「じゃあ、アリスちゃん、また明日」
手を振るシロを見送り、私は息を吐いた。
さて、私も帰ろう。
私はカバンを持って教室を出た。
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