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不思議の国のモンダイジ!

第13章 眠りネズミルート(1)


 一瞬止まったかと思ったが、気のせいだった。

 ネジが一本外れたロボットのように止まらないので、私はやはり放っておくことにする。

 保健室から出ても、ドア越しに祢津の声が聞こえた。

 私は一瞬迷ったが、仁王立ちでポーズを決めるネズミのマスコットをポケットに戻して、お昼ご飯を食べに行くことにした。

* * *

 つつがなく授業が終わり、私は教室で帰り支度をしていた。

「あれ? アリスちゃん、カバンにそんなマスコットつけてたっけ?」

 何のことかと一瞬考えて、祢津からもらったネズミだと分かった。

「……あぁ、これ……」

 秋葉原のメイド喫茶で働くアリサを、その腕っぷしでナンパたちから助け、悪の組織ジャマンダと戦う力を授けた、ネズミのチュー助さんのことか。

 嬉々として語る祢津を思い出し、軽い頭痛を覚えた。

「アリスちゃん、大丈夫? ちょっと顔色悪いよ?」

「大丈夫。……えっと、これはね……つけてるとご利益があるらしい?」

 そもそも、何のご利益があるのか聞いていなかった。

 カバンには何もつけていなかったし、単に「カバンにつけるとご利益あるよ」と言われたから、何も考えずにつけてしまった。

 外そうかな……。

「ご利益? なさそうに見えるけど……」

 そうですよね! やっぱり外そう。

「カバンに何かつけたいなら、ウサギがいいよ。カワイイし」

「それはシロがウサギ好きなだけでしょ。それより、委員会に遅刻するよ?」

「あ……」

 そう言うと、シロは慌てて時計を確認した。

「じゃあ、アリスちゃん、また明日」

 手を振るシロを見送り、私は息を吐いた。

 さて、私も帰ろう。

 私はカバンを持って教室を出た。



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