第13章 眠りネズミルート(1)
【選択肢】
→(1)放っておく
(2)放っておかない
* * *
よし、放っておこう。
声は掛けたのだ。起きない祢津が悪い。
そこでふと、寝る前にもらったネズミのマスコットを思い出す。
ポケットから取り出すと、相変わらず仁王立ちでポーズを決めていた。
何となく腹立たしく思えてくる。
私は祢津の頭を叩き、寝ているのを承知で聞いてみた。
「このネズミは何なの?」
「ん~? アリサを魔法少女にした、ネズミのチュー助さんだよ……」
期待していなかったのだが、予想に反して答えが返ってくる。
叩いたことに痛みを感じていないのか、「痛い」と呻き声すら上げず続けた。
「アリサとチュー助さんは秋葉原で出会うんだけど、メイド喫茶で働いていたアリサをしつこくナンパしていた男たちから助けたのがチュー助さんなんだ。え? ネズミがどうやって助けたのかって? チュー助さんは腕っぷしが強いから……」
寝ているにも関わらず、祢津は怒涛の勢いでペラペラと喋り出した。
この男、本当に寝ているのか?
試しにもう一度叩いてみた。
止まったか?
「……そうそう、チュー助さんは腕っぷしが強いから、大の男十人だって倒せるんだよ。でも、ジャマンダを倒せるのは魔法少女だけだから、チュー助さんじゃどうにもできない。そんなときに出会ったのがアリサさ! アリサは最初、チュー助さんの話を全く信じていなかったんだけど、ジャマンダがバイト仲間のミー子ちゃんをさらってしまうんだよ。ちなみに、ミー子ちゃんは第四話で変身して、アリサの仲間になるんだけど……」