第6章 屋上の帽子屋(帽子屋ルート)
【選択肢】
♡中庭
♠︎保健室
→♢屋上
♣︎教室へ戻る
* * *
そうだ。
きっと屋上には彼がいるはずだ。
お腹も減っているし、彼に何か分けてもらおう。
こうして私は、屋上へ続く階段へ向かった。
* * *
屋上のドアを開けると、風が甘い香りを運んできた。その香りに、私の空腹が刺激される。
私が思った通り、そこには先客がいた。
「おや、アリス。ようこそ」
「こんにちは」
屋上の一角で優雅なティータイムを楽しむのは、スラリと背の高い、とても同じ高校生とは思えない気品を纏う男子生徒。
紅茶を飲む姿さえ一枚の絵画のように美しい。
だが、その光景もすぐに違和感を生むことになる。
ティーポットは何の模様も描かれていない、量販店に売っている無機質な物。
ティーカップはただの使い捨て紙コップ。
スウィーツが乗っているのは紙皿。
優雅さとかけ離れたその景色は、気品漂う彼にはあまり似つかわしくない。
「アリス、お手を」
「ありがとう」
……まぁ、似つかわしくなくても優雅に見えるから、逆にすごいんだけど。
それに、私はもう慣れた。
男子生徒は私の傍まで来て、洗練された所作で私の手を取り、テーブルまでエスコートしてくれる。