第7章 探偵たちの夜想曲Ⅱ
『そ、それは、安室さんが毛利さんのことを先生と呼んでいたので弟子入りでもしたのかなと思ったんです。』
安室「へぇ…つい最近までレストランで働いていた男が突然名探偵に弟子入りしたのを疑問に思わなかった、と」
『だ、だって同業者だから不思議ではないかと……』
安室「おかしいですね……僕がいつ探偵だと言いましたか?あの事件の日貴方は風邪で休んでいたはずでは?」
『……!』
完全に誘導尋問に引っかかってしまった。気づいた頃には時すでに遅し。動揺しまくりのわたしを更に追い詰めていく安室さん。
安室「スーツケースに入ってた遺体を見つけた時のリアクションもずっと気になっていました。貴方は驚いた!というより嫌なものを見てしまった!という顔をしていました。まるで遺体があることを知っていたかのように…」
『……』
ダメだ。何もかも見抜かれている。もう全てを話すしかないのだろうか。だが話したところで信じてもらえるのだろうか。
安室「沈黙は肯定と捉えて良いのでしょうか。貴方には謎が多すぎるんですよ……」
『安室さん……本当のことを話したところで信じてもらえないと思うので詳しくは話せませんが、確かにわたしは知っていました。安室さんが探偵だということも、あのスーツケースに遺体が入っていたということも。』