第5章 ウェディングイブ
安室さんの傍には愛車の白のRX-7があった。隠れているのをいいことに、シャッター音が鳴らないカメラアプリを起動しコソッと安室さんの写真を撮った。
『ん〜暗いからちょっと見ずらいな…』
盗撮したことに悪びれもせず、次は一眼レフのデジカメを持っていこうと心に決めたわたしだった。
家に着くと早速脳内で安室さん対策会議を始めた。
先ず議題に上がったのは、安室さんとどう接するかについてだ。
親しくなりすぎてもダメだし、避けすぎてても逆に怪しまれてしまう。"安室さんの教育係"というモブキャラをしっかり演じなければいけない。まあ直ぐに女性スタッフ達に囲まれるからあまり心配する必要はないだろう。
次の議題は事件が起こるであろう日の対応についてだ。確か約1週間後に伴場頼太、加門初音夫婦の結婚式前夜祭兼高校の同窓会が執り行われる予定だ。その日にシフトを入れてしまったたので、当日体調不良を理由に休むしかない。
脳内会議を終えると「ウェディングイブ」事件について考えた。
『悲しい話なんだよな……でももうどうしようもないんだよね……』