第3章 バスケ部見学
「よし、ナイスパス!」
「行けー火神!!」
バッシュのこすれる音や、ボールのはねる音。
火神くんのダンクの音。
目を背けたいのに、見てしまう。
帰ろうとすれば、火神君と監督さんがものすごい怖い顔で睨んでくるし。
ってか火神君はバスケに集中しなさいよ・・・。
ここにいれば、いい事も悪いこともいろいろ思い出してしまう。
だから嫌なんだ。
ガタンっ!
『っ!?なに・・・。』
大きな音にビックリして、音のしたほうを見れば、火神君がこっちを見てる。
火神「おいっ!これでも俺はあいつらに勝てねーのかよ!!」
彼の言っているあいつらとは、キセキの世代。
『・・・うん。勝てない。』
リコ「今は・・・でしょ??」
隣から声がして振り向けば、監督さんがいた。
リコ「ねぇ、ちゃん。私にはあなたに何があったのかわからない。」
でもね、と続ける監督さん。
リコ「あなたは期待している。あの2人に。」
『っ!?!?』
期待・・・・。
さっきからこの胸がざわつくこの気持ち。
「ナイスっ!!」
「よし、次も勝つよ!!」
『うんっ!!』
そうだ・・・。
あの時と同じ気持ち。
『・・・私。
あの2人に。ううん。この誠凛バスケ部に、
勝ってほしい。』