第2章 出会い
光秀の言葉に、信長はニヤリと笑う。
「安土城へ連れて帰る」
信長の言葉に秀吉は「素性の分からない女を連れ帰るなんて…!」と反論する。
しかし、信長は秀吉の言葉など全く聞く耳持たない。
「ここへ捨て置いてもいいが、この娘、未来から来た可能性が高いのであろう?だとすれば此処で一人では生きては行けぬぞ」
舞がいい例だろう、と、言葉を付け足す。
「…!しかし、間者だったら……!」
「その時はその時だ。それに、花びらと共に突然現れた。このような形で“たいむすりっぷ”とやらをしてくるのかもしれぬ。故に間者の可能性は極めて低い」
「秀吉さん!この子の服装からして、間違いなく私と同じ時代から来たと思います。だから大丈夫ですよ」
信長と舞の二人に言われて、仕方ないとため息をつく秀吉。
信長は家康の方に向き、口を開いた。
「家康、城へ戻ったら、この娘を診てやれ」
「…は?ただ気を失ってるだけでしょ」
嫌ですよ、面倒くさい。と付け足すも、ただ眠っているだけではないから信長は診ろと言っているのかもしれない。
そう思い、溜息を付きながらも、「…わかりました」と最終的に頷いた。
「この娘も織田家ゆかりの姫として安土城におく。…舞は秀吉に奪われたから丁度良い」
「の、信長様…!奪うも何も、舞はまだ安土城に住んでいます」
「だが、俺の持ち物を奪っていったのは事実であろう?」
三ヶ月ほど前に秀吉と舞は恋人同士になった。じれったすぎて、早くくっつけと思ったのは記憶に新しい。
「…どうでもいいですけど、早く安土城へ帰りましょう。このままでは皆風邪を引きます」
家康の言葉を合図に、お花見はお開きとなった。