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イケメン戦国〜桜の約束〜

第8章 縮まる距離


「はい、幸ちゃん」

にっこり、と効果音付きの笑顔でタオルを渡す。

みたらし団子を頬張りながら「あ?」とそれを受け取る幸村。

「手ぬぐいか?」

「そう。一応私の手作りです」

手作り、との言葉に幸村は大げさに反応していたが、あえてそこはスルーする。

「この前のお礼と、あと、いつも息抜きに付き合ってもらってるからそのお礼、です」

「別に気にすることねぇのに。ま、でもありがとな」

頰を赤く染めてそっぽ向いて言う姿は地味に可愛い。

その姿は不器用な幸村らしいな、と思ったが、あえて口には出さない。不機嫌になるのは目に見えているから。

「…さくら、俺のは?」

「え?ないよ??」

がーん、と効果音が付きそうな表情で…と言っても殆ど無表情だが、そんな表情でショックを受けている佐助。

「俺も欲しい。さくらの手作りタオル」

「えー、しょうがないなぁ。また布が余ったら作ってあげるから」

「…つまり幸にあげたタオルは、ただ布が余ったから作っただけなのか」

顎に手を当て真剣に考えていることを口に出して言う。

これ、絶対わざとだ。幸村に聞こえるように言ってる時点でわざととしか思えない。

「んだよ、布が余ったから作っただけなのかよ」

「…やっぱり佐助には作ってあげない」

またしても、がーん!って言う効果音付きでショックを受ける佐助。余計なことを言ったのだ、自業自得だ。

…まあ自分の発言のせいでもあるのだが、そこはあえて気にしない。

「幸ちゃんも、布が余ったから作ったのは事実だけど」

事実かよ、と呟かれたがそんな事は今はどうでもいい。これだけは伝えたいから。

「布が余ってなくても作ってたよ?さっきも言ったけど、その手ぬぐいはこの前のお礼だから」

「……っ!」

「あとね、ちゃんと吸収率抜群で使い心地が良い素材の布を使ってるから」

汗かいたら思う存分使ってね!って笑顔で言うその姿はいつもより可愛かった。

「そ、それより!手ぬぐいの性能とか…お前、やっぱり佐助と血、繋がってるのな」

そう言うところ、佐助に似てる。って笑った顔が爽やかすぎて、この顔で営業すれば、たくさんの女性たちがわんさか寄ってきて品物が売れるだろうに…取り扱ってるものが不向きすぎて残念だわ。


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