第7章 再会
「…睨んでもダメ。お兄ちゃんにちゃんと教えてほしい」
佐助はじっとさくらを見た。話を逸らすことは許さないとでも言うような瞳に、思わず溜息が出る。
「……完全には治ってない、と思う」
今はまだ、と心の中で付け足して。
現代で会った自称桜の精霊には、完治するまでに時間がかかると言われた。なのでまだ治ってはいないはずだ。
「でも、前と比べたら身体は大分楽だから」
だから大丈夫だよ、と伝える。その言葉に佐助は眉を顰めた。
「…さくら、君は俺の大切な妹なんだ。だから無理はしないと約束してくれないか」
「佐助も約束してくれるなら」
「…!」
「佐助がいなくなってから、本当に寂しかった。だからもう…置いていかないで」
お願いだから、と悲痛な声で言う。
佐助は「ごめん」と一言言った後、さくらをギュッと抱きしめた。さくらもギュッと抱きしめ返す。
小さい頃から、悲しいときはよくこうやって抱きしめてもらったなぁと思い出す。しかし、抱きしめ合う場所が場所だ。それも公衆の面前。
「なあ、あいつらどう言う関係なんだ?」
「双子、だろ?」
どっからどう見ても恋人同士だよなぁ、と政宗と幸村は同時に呟いた。
それを黙って見ていた家康は、物凄く不機嫌そうな顔をしている。そんな家康に三成が話しかけた。
「お二人は本当に兄妹仲がよろしいんですね」
「…は?だから何なの。俺には関係ないことだし」
話しかけられた家康は、いつも以上に冷たく返事をする。しかし、三成には何も伝わっておらず、それどころか家康に爆弾を落とす。
「私もさくら様ともっと仲良くなりたいです」
「お前、何言って「ダメですよ、三成さん」
何言ってるんだ、と最後まで言葉を言う前に佐助が割り込んできた。
「さくらはダメです。抱きしめることができるのは、お兄ちゃんである俺の特権です」
それって恋人の特権だろ、と誰もが思う。
少し怖い顔をして言う佐助を前に、三成は「…そうですか」と寂しそうに呟いた。
彼女と恋人になるには佐助という関門を突破しないと無理だろう。
「家康さん」
「え、何…?」
佐助に話しかけられるなんて思ってなかった家康は、思わず身構えた。